農家の庭先に一本の太い木。幹の先にごつごつとした切りこぶがあり、
その先には四方八方へ放射状に伸びる無数の小枝、対照的な造形。
近づいて見上げると、小枝が蒼空に壮大な幾何学模様を描いている。
納屋から出てきたおじさんに声をかける。
「こんにちは、あの入り口にある大きな木は何ですか?」
「あれ?ああ、あれは雑木(ざつぼく)ですよ。あれはエノキで雑木。
あっちにあるのがケヤキですよ」
雑草ならぬ”ざつぼく”という言葉に初めて出会う。ケヤキは自慢できる木、
エノキは格下。矯められても、矯められても、あきらめずに小枝をまっすぐに
伸ばす健気な木。切り口がこぶのようになって、そこから枝が出ているので
ギリシャ神話のカプリコーン(山羊座)のように見えるところもある。小枝を
通して見上げる蒼空はどこまでも高く、限りなく透明で、躍動感溢れる世界。
新年、幸先のよいスタートの象徴。 (2008.1.6神奈川県寒川町) |