教員になりたての頃,恩師に女子学生の指導方法をアドヴァイスしてもらったところ「全く心配ない.問題はむしろ男子学生!」との答えにびっくりしたことを今でも覚えている.その教え通り女子学生は授業中の態度もよく,ゼミの宿題もこなし,実験や解析も緻密で,特にプレゼンテーションは物怖じせず男子学生をはるかに凌ぐ.教員とのコミュニケーションもよく自分の考えをしっかり述べる.一方,男子学生の多くは教員との接触を避け,極力目立たないように行動し,研究中もイヤホーンを耳に入れたまま自分だけの世界に引きこもる.自己主張も無く,控えめである.人と対立し,喧嘩することが最も苦手で,教育上こちらが一歩踏み込んだ発言をするとすぐに妥協し同調しようとする.
京大の中西輝政氏は「最近の若者を見ていると,とにかく途方もなくやさしいのである.とりわけ男性のやさしさは気持ちが悪くなるほどである.草食動物が互いに傷を舐めあっているようにしか思えない」さらに続けて「これほどまでにやさしさが全面に露出していると,世間の風は,さぞ冷たかろう,外で働くことなど思いもよらぬほどつらかろう.世界各地の大学や街角で若い男を見てきたが,こんなにやさしいオス達は,もはや別種の動物としか思えない.国中が病気にかかっているようだ」と警告している.
少子化の原因は女性の社会的進出に企業や国の対応が遅れているためと言われて久しいが,結婚を控えた女性からは「男性がやさしいだけであまりにも頼りないから結婚する気になれない」との本音が洩れてくる.
高等動物は例外なく強いオスに雌は群がる.この本性は動物が子孫を残し繁栄させるための絶対条件である.ところが,対等どころか女性にリーダシップを取られることに甘んじているのが現状である.男たるもの「俺について来い.必ずおまえを幸せにしてみせる」との気概を示そうではないか!