●「東京フォーラム(WEB)」

【日時】2022年2月19日(土)13:30-16:00

【テーマ】「鋳造の歴史と技術から、韮山反射炉のミステリーを解く

​【講師】菅野 利猛(かんの・としたけ)氏 工学博士
    株式会社 木村鋳造所 専務取締役 開発統括

【会場】ZOOMでのオンライン開催 

【概要】

1.概要

13:30~          開会あいさつ、連絡事項
13:35~15:45 菅野先生ご講演(途中10分休憩含む)
                「鋳造の歴史と技術から、韮山反射炉のミステリーを解く」


15:50~16:00  Q&A
16:00~16:30  パネルセッション 菅野先生&吉川担当理事

16:30~16:35  菅野先生コメント・ご感想
16:35~16:40    閉会挨拶 阿部理事長

2.講義メモ

 鉄屋さんではない視点(堀池)と鉄屋さんの視点(中條屋)で作成しました。

 大作になってしまいましたが視点の違いを感じて頂ければと思います。

3.参加者の感想(メーリング)

<参加者1

菅野先生の「鋳造の歴史と技術から、韮山反射炉の10大ミステリーを解く」解説は鋳造の素人にも大変わかりやすく、興味深いお話でした。
特に韮山反射炉の研究は、未来塾で行っているフィールドワークのお手本のような研究で、

反射炉では温度が上がらず鉄は溶けないという学者の意見に対して、1/5モデルの実験で溶けることを実証し、その謎が鉄の過共晶にあったことを突き止めたところには正に技術者魂を感じました。未来塾のたたらツアーや鉱山巡りで聞きかじった知識が先生の解説に繋がるところもあり、楽しい時間でした。

幕末に大砲を作るためだけに日本で独自に磨かれた反射炉の鋳造技術は、明治に入って導入された新しい技術の前に消え去り、暗黙知のまま歴史の中に埋もれてしまったとのことですが、世界から見ればガラパゴス的な技術が短い間に日本の技術者、職人の間で暗黙知として共有されていたこと、それを現代の技術者が掘り起こすことで学者にも知られていなった新たな事実が浮かび上がってくるところなど、技術の宿命と歴史の面白さを感じました。
そんなことを感じながら、最後の吉川さんからの幕末と現在を比較しての問題提起には
いろいろと考えさせられるところがありましたが、「自分のやりたいことをワクワクしながらってみる」ことが一つの答えなのかなと思います。

韮山反射炉、是非近いうちに訪問してみたいです。

<参加者2>

昨日は貴重な場をお作りいただきありがとうございました。
当然ですが、太古よりずっと科学法則の上に万物ができていること(当然ですが。。)
その法則をいろんな形で探求し実践してきたことが感じられました。
茶釜のC:4.5%(でしたっけ?)が特に印象的でした。

また、技術の追求にはオフラインを活用していたことも感慨深いです。
貪欲、技術者魂、忘れないでいたいです。
今の世ですとコンプライアンスや道徳?遵守ですが、やっぱりしぶとさ、しつこさ、貪食さは
大事だなとあらためて実感しました。

dash島の反射炉くだりです。この分だけ見ても?でしたが菅野先生のお話でなるほど、

と思って染み入りました。
実験としては壮大なので、プロの解説があるとそれがもっと活きますね!
このページに菅野先生の講評とか解説が入ると、
単にチャレンジする楽しさだけでなく科学技術面での番組の格が上がるのでは?
と思った次第です。。

<参加者3>

今回の菅野先生のご講演は大変楽しいものでした。

先生に大変感謝いたしますともに、ご準備いただきました、ご担当の吉川さん、中東さんにも感謝いたします。

特に、印象的だったのは、全国に反射炉は複数あるのに、それで作製された大砲はほぼ残っていないという日本史のなぞに対する答えが得られたことだと思います。反射炉で鉄は溶けたが、それから作られた大砲は質、量ともにあまり実用的ではなかった。技術として実用化ギリギリのもので、その瞬間は有望であった技術であったことが理解できました。後の時代の人間で別の答え(高炉)を知っているとそのことに思いが至らないということ、同時代人の感覚に改めて気付かされました。

これらのことが、菅野先生ならでは専門性を生かされて、実証されていることに感銘を受けました。考古学(もちろん歴史学も)で技術に関することは、実際に科学技術的に実現可能でない仮説は意味がないし、その証明は単に文献を読むだけでは実行できないと思いました。

<参加者4>

韮山反射炉のミステリーを技術的な点から解いていくお話で、大変面白かったです。
当時の技術者の思いと頑張りが伝わったような気がしました。
また、技術的な点だけでなく、歴史に関するものも含め、情報量が非常に多く、
大変勉強になりました。
菅野先生、ありがとうございました。
吉川さん、中東さん、面白い企画をありがとうございました。

私は製鉄プロセスの開発を長くやって来ましたが、こしき炉は初めて知りました。
「たたら」では大がかりな割には得られる溶銑量が少ないので、大変だと思っていました。
こしき炉であれば、作れる量は多くないと思いますが、設備はコンパクト(写真では
全体像は分からなかったですが)になっているようで、たたらに比べてかなり進化したように感じました。こしき炉を実際に見たくなりました。

こしき炉で作った鋳鉄(10cm x 10cmで長さ1mの形に鋳込んだもの)を何本か並べて
反射炉で溶解させ、大砲作りに必要な大量の溶銑を作ったとのことですが、炉内の鋳鉄に

しっかりと熱が熱が伝わるよう、反射炉に適した形状を作り上げた様子も想像できました。

佐賀藩の知見が活かされたのですね。

P.S. 反射炉で作られた大砲の数に関する資料の中に金子功先生のお名前があり、
大変懐かしく思いました。
愛知県の東栄町にご自分で天文台を作られており、学生時代や社会人になって
からも独身時代にはよく遊びに行かせていただきました。鉄の話を伺ったかどうか
忘れましたが、星の話の他にも歴史の話をよくされていたのを思い出しました。

<参加者5>

反射炉だけでなく、幅広い鉄の知識が得られたのがとてもよかったです。

これまで、鉱石の酸化鉄を炭素で還元することは知っていましたがCOは高温で安定する

不思議、という点は言われてみればなるほど!でした。

反射炉は写真で見る限りでは何がどうなって鉄ができるのかわからずすっと謎でしたが、

那珂湊の復元した実物を見てやっと理解できた経験があります。

観光いばらきH.P.には

 「反射炉とは火炎を炉内で放射させ、1200℃~1600℃の高温を効率的に保ちながら加熱し

鉱石や金属を製錬・溶解する炉のこと」とありますが1600℃はちょっと盛りすぎ?

製鉄だけでなくお台場の建設、江川英龍のことまで拡がる吉川さんの思いが伝わった

菅野先生のお話でした。

韮山にはまだ行ったことがないので是非行って見たいと思います。

どうもありがとうございました。

(文責:中條屋)

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