• degawa0

第3回:コンサルタントの収入と副業、複業化

最終更新: 4月13日


 コンサルタントは一体いくら稼げるか?これは多くのひとにとって、最大の関心事の一つです。もちろん、それには基本給という概念がないので、ピンからキリまでというのが正解ですが、横からみていると、一応の基準があるというのも正解です。それについて出来るだけ具体的に述べていきましょう。

その前に、収入についてはこう考えるという志が大切です。独立してコンサルになると年収はサラリーマン時代と同じレベルあればOKとするのではなく、最低でもサラリーマン時代の2倍は狙ってください。うまくいけば3倍以上が目標となります。これはなぜかという話を先にしますが、この考え方の基本は独立や自営する場合の時間単価の考え方となってきます。


・サラリーマン時代は仕事分の収入を得ていないのが普通

 サラリーマンは、特殊な個人契約でない限り、会社の給料は仕事の中身に関係なく年齢やキャリアに伴う、横並びの傾向があります。さらに、仕事の内容に比べて給料への配分(労働配分率)としては高級な仕事(ホワイト)をしているほうが低いのです。ここでは、個人である従業員の稼ぎと、その分配の結果である給料の問題を解説しておきましょう。組織の中である程度の仕組みをしると、気がつくと思いますが皆様、従業員の存在は、実は結構なコストとして計上されているのです。なぜかというと企業経営には「労働分配率」という概念があり、従業員(役員も含む)が稼いだ価値をどのくらい給料に反映しているかを知る手がかりとなります。しかし、この数字をそのまま使うと、経営者の能力によって、たとえば赤字のときにはこの数字が一見高くなったりするので要注意です。

 通常の仕事をきちんとこなしている人にとっては30%、どんなに良くても50%が実際の給料となります。これはどういうことを意味しているかというと、もし個人で同じレベルの仕事が継続して行ったとすると、年収は3倍に自動的になっても自分も顧客側もレベルは一緒でおかしくないということです。このことは仮に仕事の量が仮にサラリーマン時代の70%としても、収入は2倍になってもおかしくないということです。これが自立した個人コンサルの醍醐味ということになります。サラリーマン時代の給料というのは、ちゃんと外向けの仕事をしている人にとっては時間単位(レート)でいうと、わずか30%分しか給料をもらっていないことと同じになります。


・50歳での具体的な時間単価と年収の計算事例

 50歳の時に組織から卒業して、自営コンサルタント(高度専門家)として自立するモデルを検討してみましょう。年収を維持する場合と年収を超える場合を併記しています。そのどちらになるかは50歳までの組織にいるあいだの努力・能力と顧客の二―ズの高さ(価値)しだいとなりますが、時間単位給としての分配率を上昇できること(=自立パターン)を考えると、決して難しい話ではありません。

 例えば、企業のなかでのコストレートが1万円/時間の標準的なホワイト系のサラリーマンでしたら、もし同じレートで(企業側の負担は同じですが)、日給8万円、月収160万円(20日労働)で年収2000万円となります。もし土日も働く、残業するモデルとすれば、このままでも年収3000万円となりますし、50%の仕事率(月10日の仕事)であれば、残業がなくても年収1000万円の収入が確保される計算になります。

 通常のサラリーマンにおける、組織を離れるときの最大の問題は、定期的(自動的)に給料がもらえなくなるということでしょう。これはとくに会社一筋で自立していわゆる小遣い稼ぎをしたことのないサラリーマンには切実な問題です。逆にこの問題さえクリアすればもらえるものも、もらえていない構造を変化させる(給料が増える)ことが現実的に可能になります。

 

・高度な専門職としての技術者の能力(時間単価)は50歳以降に向上

 われわれ技術者ベースの仕事は当然ながら経営職と同じか、それ以上に「もの創り能力」(熟練もあるが個人差、センスの差のほうが大きい)は年齢に関係なく60歳、70歳といわず伸びる人はまだまだ伸び続けることも当たり前となります。まだまだ制度が追い付かない日本の雇用制度の中で、そのまま埋もれてしまうのは個人でも、社会でも、会社にとってももったいない話といえます。

 この考え方によるとサラリーマン型の技術者は早くて40歳、遅くても50歳以降の自分価値の作り方の基本はあきらかに、頭脳型の「もの創り能力」で向上への投資拡大に集中すべきです。もし、組織内の作業の質が外でも通じるとすれば、時間単価は最低で1時間1万円、通常は2-3万円、高度になると弁護士や経営責任者などの時間単価と同じ5万円以上の価値があるのはあたりまえです。


・コンサル型ビジネスの年収計算のベースは時間単価の設定から

 顧客側の企業としても実は、それを外部(の個人)に外注しても損をしません。社内レートで支払っている費用負担とほとんど一緒だからです。しかし繰り返しますが貰う方にとっては途中でカットがないと仮定(配分率100%)と仮定し、収入に換算すると、最安単価でも1万×8時間×20日で160万円/月、年収2000万円が稼げることになります。ちょっと高度な2万円/時間単価の高級事務職、設計・開発技師だと4000万円、高級な5万円/時間単価だと1億円プレーヤーの年収ですね!これが75才すぎまで確保されていても全くおかしくありません。

 パターン化されたもの造りの時間単価・収入と比較してみましょう。いわゆる個人職人系の業種としておこなわれているマッサージ、鍼灸、理容師などの自営業が5000-6000円/時間、これがちょうど大企業の工場におけるブルーワーカーの作業レートと一致します。熟練度が低い作業、派遣事務職、中小企業の場合のワーカーレートは3000円程度という場合もあり、これらはその加工製品が生む付加価値によってもちろん変化はします。いろいろありますが全般では3000-6000円/時間といったところでしょう。

 参考までに月収という形で計算すると、もし配分率が100%であれば、3000円/時間の場合でも3000×8時間×20日=48万円/月から96万円/月となります。これでも年収1200万円です。高度な専門家が組織から離れて自立・自営するということはこんな意味があるのです。


・米国の開発ベンチャー企業の技術者の給料はなぜ高いか?

 実は、小生自身が組織内にいるときに、実感した事例があります。それは日本の大企業と米国のベンチャー企業における同じレベルの仕事をしている技術者の給料の違いです。実はコスト構造としての価値はほとんど一緒であり、日本の大企業の技術者の給料は実は米国でも大企業の年収はほぼ同一でしたが・・同じ種類の仕事をしているベンチャー技術者の年収はほぼ倍程度となっていて、びっくりしました。

 これは、簡単にいうと、レート(コスト)は一緒でも、分配率は米国のベンチャーにおいては0.7―0.8となるのに対して、日本(米国も)の大企業では0.3-0.4程度だったからです。実は、米国のベンチャー企業では大きな過去の設備や中間管理職などの固定・償却費用がないため分配率0.7―0.8は可能なのです。

 これは専門家が同じ仕事をしていても、組織の持つ予防的、官僚的、過去の投資費用回収などの組織維持費への費用の差ということもできます。実は、属する組織によって仕事の内容や質に関係なく均一に付加される費用がかかり、それは結果的に給料は仕事内容に比べて高すぎる場合と安すぎる場合があるということです。これは日本のホワイトの競争力の問題として、よく指摘されますが経営者はあまり手をつけたがらない問題なのです。すなわち端的にいえば(結論)、知的労働者ほど、会社のなかでは労働分配率が低いことが結果として日本企業の特徴となっているのです。

 ではどうするか、これが50歳以降の自立・自営、起業の目の付け所といえます。現実的には以下の3つが打てる手となるでしょう。もちろん、属する企業において頑張って経営者になるという手はありますが。

1)給料分配率の高い企業に転職する。・・・例、米国のべンチャーのような会社に再就職

2)知識労働者としてのフリーになる・・・プロフェッショナル専門家としての自立、自営

3)起業し、その経営者になって分配率をコントロールできるほうになる。・・・企業における利益配分は経営者の専属マター。

 現状ではこの3通りしかないかと思います。べンチャーなどのシンプルな組織では、同じコストでも得られる収入の分配率が異なり(米国のべンチャーは0.7、日本の大企業は0.3程度)、給料が2倍以上の差になっているのです。また米国では当時から、人材の流動性とともに社外専門家という各種コンサルタント(会社で支払う)が多い理由は、コスト計算で出て行く金額が同じならば社外の専門家を必要なときに必要なだけ使ったほうが、企業にとって、経済的であり合理的だからです。また自営業としてのコンサルタントもいろいろな企業からパラに稼げるということになり、企業と個人の両方のWIN=WIN関係と裏腹であることも新しい発見でした。(2019.7.23 出川作成)


以上