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第5回.コンサルタントの勉強をしないでコンサルタントになる方法

最終更新: 4月13日

一般にコンサルタントになるには、何らかの勉強が必要と考えていらっしゃる方は多いと思います。本連載ではそれはちょっと違うぞ、コンサルテイングを専門分野の1種ではなく、語源の通り協議の仕方という視点で話を進めて、ほんとにコンサルになる勉強はいらないのか?MBAは不要なのか?コンサル会社への転職経験は不要なのか、そのあたりを一度整理してみましょう。


・コンサルは教えることでなく一緒に考え、ヒントをアドバイスすること

それはそれで、個人でコンサルタントになるためには最低でもMBAを取得するとか、コンサル会社に一度勤めてから独立しようとか思う方もいらっしゃると思います。もちろんそのようないわゆるキャリアップ経験が摘める方はそれに越したことはありません。これらの経験は自分の経験を整理して、顧客の視点に加えて、自分の視点を拡げ、それらを体系化して示すことにつながる大変貴重なポイントにもなりえます。

筆者自身はコンサルに転出する前に、複数の大学のMBA講座のMOT講義を依頼されて社会人学生用に自分自身のすなわち新規事業展開のお客に対する先生の役割を果たしました。これが結果的にMBA的な整理をしたことになったのかもしれません(この成果をまとめて起業するときに新書にすることが出来ました(注2))。

繰り返すようですがコンサルは専門知識を教えるだけでは務まりません、一般には顧客も専門家であり、その知識の量や質に関しても、ある面ではきわめて深く、自説をちゃんと持っていることが多いのです。このような時に、コンサルタントが自説や少々古い知識などを振りかざすと、大変嫌がられることもあるようです。相手は顧客なので、いつでもコンサルを止める権利を持っているので、お客を失うことになってしまいます。あくまでもコンサルは先生とは違って、顧客は上位者となっていることを再認識することは大切です。

このためいくつかの注意事項が生じます。例えば顧客と重なる専門分野でのコンサルについては要注意です。相手に自説や知識を教授、伝授するのではなく、あくまでも質問に対して自分の経験範囲(他社の状況も含めて)を顧客の説や知識を補完する形でアドバイスすることが肝要となります。もちろん内容はあいまいではなく、適格に事実と自説、また一般的な伝聞についても的確にわけ、不明なところをあらかじめ準備しておくという努力は必要となります。このためには、サラリーマン時代に出来るだけ深く自分の研究分野を磨くことはもちろんですが、他流試合を出来るだけ多くおこなっておくこと、また自社だけの動きでなく、世の中の同業、競合などの広い範囲の専門家と交流したり、ネットワークをつくっておく必要があることを示しています。


・自分の興味のある専門分野と関連分野を徹底的に広域化・深化させておくこと

一般的に大企業の中では、専門分野は小分けされ、限られた範囲の中で深堀される傾向にあります。これを蛸壺現象といいますが、企業内でもそれを避けるためのローテンションももちろん時々行われていますがそれだけではたりません。コンサルタントになったときには、顧客からの相談事は、想定外というか驚くべき広さでやってきます。すなわち、自分が本当の専門としての得意分野は限られていて、そのものずばりの専門分野、専門技術についての問い合わせはほとんどないといってもよいでしょう。

多くのコンサルタント志望の専門家がお客不足に陥るのは自分の専門範囲を限定してしまうところにあるのも事実です。15年間以上コンサルタントをやってきた自分の仕事はどうかという例を出すと、ほとんどが専門分野以外のものであり、いわゆる専門をどのようにビジネスにしていくかというマネジメント系でなりたっているといってもよいでしょう。筆者の技術面での専門分野は一応マクロからナノまでの材料・加工分野とのアドバルーンは上げてあるので、たしかに中堅、中小企業と、官公庁の評価委員についてはその分野のものがやってきました。しかし、最初は自分の専門に近いと思っていても、よく聞いてみると、その隣の分野だったり、切り口が全く違っていたりする場合が多くあります。このようなことから、専門技術系のコンサルタントを志すとすると、まずは企業の中で、専門分野の周辺をどんどん引き受けて、その幅をまずは自分で広げておくことが第一歩です。


・身近の技術・経営リソースは最大限自分の中に取り組むこと

自分の技術の幅を拡げ、深めるにはどうしたらよいかについて会社のなかでやるべきことを整理してみましょう。まずは会社の中に存在する専門違いの技術者を先生にして出来るだけ、その専門性の内容の相互に学んで自分のものにすることが大切です。うまくすると、大学の専門分野は2-4年学ぶだけですが、会社でこれらをパラに学べば10年居たら5つの分野の周辺の専門性を身に着けてもおかしくないことになります。いわゆる専門を学ぶこととは、筆者は次の3つの要素(先生の存在、一緒に学ぶ仲間の存在、試験などの評価を実施してパスすること)が必要と感がえますが、その状況を会社のなかでつくっていくことも大切です。

筆者の場合にもいまから思うと、そのようなことを結果的には行ってきました。入社当時の研究所は、完全に専門別になっていましたが、幸いに団塊の世代の新入社員として各研究室に1-2名づつ同期生が配属されたので、入社1年目の夏から3年目まで、お互いに先生となって定時後に勉強会と称して、まさに他の専門を学んでいきました。最初は2-3人で始めたものがあっという間に10名レベルとなって、同期以外にひろがって最後は30名程度の大所帯になっていたのです。もちろん、小テスト、終了テストも行って、私設の卒後証書のようなものまで出したこともあります。もちろん時間外ですが、会社の上司も面白がって先生を引き受けてくれたこともありました。

これは実は2重3重に効果があって、自分の専門性を広げるだけではなくて、教えることで自分の専門分野の深堀、専門の違うひととの話によって新しい切り口や学際領域でのヒントのゲットにもつながってきています。コンサルタントの実力とは周囲の事を実際にどのくらい知っていて、それらをつなげることです。そういう意味では、いやがらずに、さまざまな仕事に首を突っ込む性格の人はコンサル向きといえるかもしれません。異分野の知識・経験を体系化して提供することは異分野の知恵を活用する、融合、統合化によるアドバイスを行うことで、価値を作り上げることにつながっていました。

(*注2:ここの部分は興味ある方は下記の本に詳細は書いてあります「技術経営の考え方」光文社新書、2005)


以上