第9回.経営者、担当者とコンサルタントの違い:(非常勤)取締役とは何が違うか
2020.1.2
・経営者(役員、管理者)とコンサルタントの違いとは
コンサルタントはあくまで、外部から見て、決断(決定)のための選択肢を提供するものといってよいでしょう。
コンサルティングをしていると、いわゆる経営やプロジェクトのマネジメントそのものに対して、その具体的なやり方やアドバイスだけでなく、判断を求められることも多々あります。いろいろなケースや事例を出すのが本来のコンサルタントの仕事だと筆者は考えていますが、もう一歩踏み込んだ判断が必要なことも実際は多く、また当事者としては、明確な答えをほしいところからきていると思われます。
この場合、二者択一的な判断、決断を要求される場合、それまでに得られている情報だけで十分かどうかということが問題になります。経営的な判断や人事的な判断には通常立ち入らない(いれない)のは理由があり、判断のための重要材料が欠落している場合が多いからともいえます。例えば部外者には言えない事柄が、結構判断のキーになることは多々あります。
本気でプロジェクトや会社の経営に対処するためには、口に苦いこともいろいろという必要があります。通常のコンサルテングでは、前向きの「可能性の観点」から、出来るだけ顧客に寄り添い人事や経営のやり方については、ポジテイブに課題や問題点を指摘はしますが、その解決策を具体的に判断し、指示するようなことはことはありません。すなわち、コンサルでは、あくまでアドバイスという形にとどめることで、指示、命令ラインとは一線を隔しているのです。
それでも、明確な指示や判断を要求されるときは、筆者は一定の基準をつくってそれらのリクエストに対処することにしました。プロジェクトのマネジメントそのものを行うときは、ある期間に限ってPMそのものになります。例えば6か月間だけ時間的な制約だけでなく、色々な情報をすべて挙げてもらい、的確な判断のためにほぼ専任的にPMを行い、依頼元のクライアントはサブPMとしてやってもらいます。そのかわり費用はコンサル費用の枠を超えて行うのでいわゆる費用はアップします。
まとめると、経営に対する直接のアドバイスを求められるときは社外役員、非常勤役員となって行います。このときは、いわゆる経営責任が伴いますので、言いにくいことも、明確にいうことになります。実際にこれまで、継続中(4社)もいれると10社程度の社外役員をおこなってきています。この場合の費用はいわゆるコンサル費用とは別枠のものとなります。結果として、いうことは同じであったことも多いのですが、いわゆる立ち位置と覚悟は異なるのです。
・企業経営者としてのコンサル業、知的自営業としての自由度と束縛度
コンサル業を開業するときは、知的な自営業として小規模(個人的)なコンサルを行うか、人やシステムをつかって大規模にコンサルを行うか、で大きく異なってきます。どちらがよいという話ではありません。
筆者は、会社としては自営業的ないわゆる一人コンサルを基本としています。一人ではとてもできない規模のコンサルを頼まれるときは、チームを組みます。いわゆる組織の形態は色々ですが、個人事業主、各種の会社、LCC,社団法人、NPOなどなどの個人ベースでやりとりして最適なチームを組みます。これはネットワーク型コンサルタントとなります。なぜかというと自分の自由度との兼ね合いになります。ただし、いちど約束すると、なかなか代理をだすとかが難しいビジネスモデルとなります。
自営業的な個人コンサルは自由度や稼ぎにはしばられませんが、大きく稼ぐことはできません。例えば1日30万円稼ぐとしても、フル(20日)で月間600万円、12か月で7200万となります。現実はこんなに毎日仕事があることはありませんから、目安としてその半分が実際のコンサル稼働日とすると、最大3600万円の売り上げとなり現実的な、知的自営業としてのコンサルの目的地となります。
一方では、会社形式として、組織的に経営とコンサルタントと分けることです。そうすれば大規模なというか、人を雇って組織的にやると、大きなプロジェクトを取るのが可能となります。ただし例えば立派な資料を準備したり、プレゼンを何回も繰り返したりといった作業も増えますが、自分が忙しいときには代理を出すことも可能となります。
このどちらが良いか、というのは考え方の違いであり、また顧客側もそのどちらを好むかは、色々とあります。筆者自身もいくつかの大手ブランドのコンサル会社の一員として動くこともあり、それはそれで、楽な面もありますが、まどろっこしい面という両面があります。きっとお客の満足度が高いほうが正解なのでしょう。
以上
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