早稲田大学 名誉教授 浅川基男 asakawa@waseda.jp
ドイツは 16 の自治州の連邦で成り立っており,各州が所得税などによる予算権を持つ.この新型コロナウイルス禍において,ベルリン市では本年3 月27 日のホームページに,補償額1 人 60万円の申請案内がオープン, 3 頁の質問状:氏名・メイル住所・銀行口座番号と共通のIBAN 番号(日本の個人カードに相当)にチェックを入力するだけである.「その画面を電送したら,2 日後には 60 万円(5 千ユーロ)が振り込まれていた」と,在ベルリンの日本国籍の音楽家が驚いていた.
中国の武漢ではロックダウン後,コロナが再発生した5 月に,1000 万人に武漢市の市民に,無料で素早くPCR 検査を実施,300人の陽性者を割り出し隔離した.その後,市内は通常の経済活動に戻っているとの映像報道があった.
ところが,日本は後手に回る国政・縦割りの官僚組織・動かない役所,小出し・バラバラ・目詰まり・遅滞・説明不足…等の弊害が続出する一方,国民には3 蜜と注意を呼びかけるだけ! さすがの我慢強い日本国民も,これではいけないと考えこんでしまっている状況だ.
今の中国は,他国に干渉し,他国の迷惑をも顧みず,用意周到で,岩盤のような国家目標があり,それを着実に実行しつつある.ところが,日本は他国に干渉せず,他国に迷惑をかけず,公共の福祉よりも個人の人権を大切にする結果,何も決められず,国家目標もあいまいで,軟弱な国になってしまったのではないか?
政治家の科学リテラシーを上げることが大きな課題ですね。日本はファクターXなどの幸運で何とか持ちこたえているようですが、科学的なデータに基づいた議論が必要な時期になってきたように思います。
1000万の市民からPCR検査で300人の陽性者を割り出す(感染率0.003%)のは、PCR検査の精度(陽性70%、陰性99.9%)から言ってあり得ないのでは、と思います。