早稲田大学 名誉教授 浅川基男 asakawa@waseda.jp
このたび,100 年以上の伝統ある機友会会長のご指名をいただきました.その任の重さに耐えうるかはなはだ心許ないですが,就任した以上は精一杯機友会の発展に尽力する所存ですので,皆様のご協力を宜しくお願い致します.
総合機械工学科の学生は1年生からほぼ100%機友会会員になります.一方,機械科学・航空学科では2年生から学科に所属するため,機友会の入会が30%と低迷していましたが,度重なる事務局からの広報により入会率が70%近くに向上しました.また,OB においても会費未納会員への働きかけ,会員のデーターベース更新,機友会サポート費の定着化が進んできました.
現役OB には見習い中の20 代,独り立ちする30 代,成功体験と責任を背負う40 代,会社経営と専門職としての50~60 代に区分できます.このような現役OB の資産を活用して,例えば年代ごと,あるいは年代を混在させて現役学生と討論する場を設け,「進路の悩み,働くことの意味,生き方,さらには人生観」を語り合えば学生にとって具体的に将来を考えるトリガーになるかもしれませんし,現役OB も20 代学生の感性や考え方に触れ,腰を抜かすほど驚くかもしれませんし,自分がいかに固定観念に縛られていたかを見いだす場になるかもしれません.一言で言えば,双方向の 「人間見学会」を機友会で企画したらどうでしょう.
また,教員と現役が接する場として「単位取り直し・やり直し講座」を開催するのは如何でしょう.金属材料をもう一度やり直して勉強したい,流体力学・材料力学・熱力学も,さらには電気・物理・数学も,と必要に迫られているバリバリOB が大勢いるはずです.講習費用をポケットマネー程度とすれば,私費での参加も可能ですし,今さら会社では聞けない質問をすることも懇談会の場でできるでしょう.
同じような主旨で大学とOB を繋ぐ「技術難題駆け込み寺」の場を機友会が担っても良いでしょう.これが縁で教員・大学とのプロジェクトや共同研究に発展する機会があるかもしれません.
誤解を恐れず言えば今までは「役に立つ機友会」の視点が欠けていたと思われます.「面白い」,「刺激が得られる」,「自分の為になる」などの企画が増えれば,機友会に価値を認めるOB が多くなり,結果的に会費納入率も向上するでしょう.「一波わずかに動いて万波随う」の故事にならって,わずかではありますが一波を動かしてみようではありませんか!ご協力をお願い致します.