早稲田大学 名誉教授 浅川基男 asakawa@waseda.jp
教室会議で最終講義の有無の案内が来たので,「私はやらない」と返事をしたところ,若手の先生から「浅川先生がやらない前例を作るとその後の人もやりにくくなるから,是非やって欲しい」との要請があった.そこで,学生相手の最終講義は変わり映えがしないので,焦点を社会人にあてた内容に絞った.おかげさまで57 号館の大教室に250 名を超える多彩な聴衆の前での最終講義となった.出席者の感想から講義の雰囲気を感じ取ってもらったら幸いである.
元住金の上司: 居眠りする人もなく 大変よく考えられたシナリオで聴衆を飽きさせなかったのは お見事でした.浅川研究室は人気が高かったそうですがその秘訣が分かりましたよ.今後も完全引退でなく教育分野で貢献して下さい.新幹線の車内から.
機械工学科同期の仲間:浅川君の住金時代から,早稲田に戻って次第に先生らしくなって行く過程がよく判った.二日酔いのため,最後の晴舞台で居眠りをしちゃまずいなと思いつつ最終講義を拝聴したが,眠る暇もなく聞き入ってしまった.あんなに話術がうまく,3 次元でのヴィジュアルな説明も素晴らしく感動したよ.
趣味の仲間:大変重みのあるお話をユーモアたっぷり楽しく聞かせていただきありがとうございました.教育生活18 年と言うか人生70 年の思いを1時間余りでお話しするのは大変だったと思います.配布資料のモトイズムを読み合わせると話をされた内容の重みがさらに良く分ります.これからもぜひ後進の人たちのご指導をよろしくお願いします.
ボランティア仲間:講義を楽しませていただきました.ストーリー展開の鮮やかさ,語りの品格を保ったままくすぐりを入れる絶妙の間合い,味わい深い浅川節でした.「塑」の字の解説からスタートした塑性加工のお話も,視覚から入って感覚的にわかる,なるほど!という発見に満ちた楽しい内容でした.「小学校の同級生から住金時代の同僚,共同研究者,学会の同僚・先輩,浅川研のOB,現役,そして学生の親御さんまで,多彩なバックグラウンドの方々が集まっているので話の焦点が合わないことを最初にお断りして・・・」と講義開始前に挨拶されましたが,会場は講義に引き込まれ,随所で温かい共感の笑いが起こり,お祝い感一杯でした.“企業経験28 年,大学生活18 年”,塑性加工は50 年!を締めくくる,練り上げられた講義を拝聴しながら,新たな時空で展開される浅川節を今後とも楽しみにしています.
小学校の仲間:金属塑性加工は全くの専門外でしたが,いろいろな新しい加工方法・シミュレーションの内容は非常に面白く,私のノートにはメモがたくさん書き込まれました.金属加工自体の歴史は古いのでしょうが,金属の組成レベルで可視化できることにようになったことで近年になってもまだまだ新たな発見があるのだと感じました.「頭の良さよりも頭の強さ」、「深は新なり、新は深ならず」なかなか良い言葉です。おまけに「モトイズム」と題された37 ページもある講演資料を頂きありがとうございました.
高校時代の同期:小生のような科学の門外漢にも,優しく,判りやすいお話しでした.青春時代の自己に厳しい努力家とユーモア溢れる人柄が,今も脈々と生き続けていることが判ります.優秀な教え子と数多くの友人たちに囲まれ,充実した最終講義を終え,穏やかに微笑まれる貴兄は,本当に幸せな方だと思います.
学生時代のコーラス仲間(女性):最終講義を聞かせていただきありがとうございました.思った以上にコーラスのメンバーも集まり,ミニ同窓会も盛り上がってよかったですね.たしか,お話の中で企業の生活をしていた時でしょうか,十数回の引越しを経験されたとか・・・奥さまが大変だったでしょうね.また子供さんたちも学校への適応にも苦労があったのではないでしょうか.本当は最終講義で奥様にお目にかかれれば良かったのですが,よろしくお伝えください.
若手教員:先生のこれまでの業績や教育観に大変感銘し,久しぶりに57 号館の席に座って,学生の頃に受けた浅川先生の講義を思い出しておりました.小生の着任にあたりまして,もし何か引き継ぐことがございましたら,ご教授頂けましたら幸いでございます.
浅川研卒業生:先生の講義を聴くのは学部3 年以来なので新鮮に感じました.学生時代は,何も目的もなく授業を受けていましたので基礎学力の大切さを知りませんでした.しかし,今となっては材料力学,流体力学,熱力学,数学と基礎科目の必要性を痛感しております.先生のお話を聞いた後,すぐに本屋さんに行き塑性力学の本を購入し新幹線内で勉強しました.