早稲田大学 名誉教授 浅川基男 asakawa@waseda.jp
浅川さん,塑性加工の4 月号の説苑を読ませてもらいましたが,「大学は基礎教育に徹せよ」とのご主張に私も同感で,これが大学人の多数意見になるよう念願しています.「S50 年に出題された「材料の力学」の問題を最近の学生にやらせたら,平均点は当時に比べ半分以下だった」という話を始め,数々の事例紹介には「やっぱりそうか」と言う思いですし,数学・物理・化学・電気など基礎教科を繰り返し叩き込むべしと長らく考えていましたので,我が意を得たりと感銘を受けました.最後には野依先生の「教員の研究重視,教育軽視が問題」との発言が紹介されていますが,いい教科書は殆ど海外のProfessor が書いたものと言う印象が私にはあり,両者は大いに関係していると思います.理系だけかと思っていましたら,文系でも同様で,アメリカの教科書は素晴らしいそうです.まだまだお元気そうなので,引き続きのご活躍を祈念します.
浅川からの返事:ご無沙汰しております.お元気ですか? 説苑読んでいただきありがとうございました.企業を経験した教員と,はじめから大学で育った教員との間には少なからずギャップがあります.私も海外出張するたびに海外の大学の教科書を購入し,そのすばらしさにため息をつくことがしばしばです.
先日,某自動車メーカーの役員の方が早稲田に来られたときに小職が常日頃感じていたことを,指摘(教育をおろそかにしている)され,今回説苑を書く動機にもなりました.最新の5月号の「日経ものづくり」の巻頭言でも東レ榊原社長が同じような危機感を訴えており,OBや外部の方が声をあげることにより,大学の教育のあり方にも影響を与えつつあると思っています.