日本およびものづくり産業はこれからどうなるのか．希望的観測は探し回ってもなかなか手に入らないし，実感することも難しい．まず「ものづくり産業」の経緯と実態を俯瞰してみよう．
敗戦で，造船所がほとんど壊滅したにもかかわらず，1975年には世界の鉄船の55％を日本で造れるようになった．これを追うように1980 年には鉄鋼生産で世界一になり，1986年には自動車製造でも世界一になった．1990 年には日本企業の半導体世界シエアは49％に達する勢いとなった．これらの成功は，2 章以下で詳述したように幕末から明治のものづくりへの個人の思いや，政策が功を奏した成果といえよう．
筆者の年代は，日本のような無資源国は，資源を安く外国から購入し，これを加工して，高付加価値商品に変え国内に売り，海外へ「加工貿易」をしてきた．すなわちものづくりをベースとした「加工立国」で日本は生きて行くと教育され，これを実践してきた．
以下、添付ファイルをご覧ください。
早稲田大学 名誉教授 浅川基男 asakawa@waseda.jp
