敗戦のどん底にあって、その責任と力量を発揮した吉田茂首相を得たことが、 その後の日本の発展に大きな救いをもたらした。彼は肝の据わり方が、戦前のリーダー と異なり、他人にどう思われようと自分は自分、強烈な個をもった為政者であった。 初対面のGHQマッカーサー元帥に静かに語った。「減衰、GHQとはどういう意味 ですか?」。元帥はいやな顔をしながら「ジェネラル・ヘッド・クオーター」と 答えると、吉田は「ああそうでしたか。私はゴー・ホーム・クイックリーと思って いました」と、真を突いて笑わせざるを得ない教養あるユーモアで返している。 その場の緊張した雰囲気が、一挙に打ち解けたことであろう。 (1)戦後